うつわの世界 ~種子島の陶芸家 野口悦士~
種子島の陶芸家・野口悦士氏。種子島の土を使い、種子島の窯で焼き上げるうつわを紹介します。
はじめにご覧いただきたいのは、少しグレーがかかった白い皿。これは、種子島の土に白い化粧土をかけて焼いたこの作品。窯は薪窯だそうで、“薪をくべて炎を見ながら温度調節をする”のだそう。当然といえば当然かもしれませんが、くべられた薪から灰がとび、それが皿について模様となっているのです。
皿の表面をじっくり見てみましょう。はらはらと散っているように見える小さな黒い点。これが、その“灰”のつくった表情なんです。
さらに眺めていると、ふと気になることがもうひとつ。いわゆる“表面がつやつや”していないんですね。これはあえてマットな質感を出すために釉薬(ゆうやく)をかけずに焼きしめているからなんだそうです。
同じ手法でつくられたのが、こちらの盃。
これは釉薬(ゆうやく)をかけて焼いているそうで、いわゆるツヤ感が出ています。こう見ると、灰のつきかたにもなんとなく違いがあるような…そんな気がしませんか?
そしてもうひとつご紹介したいのが、この角皿です。
先にご紹介した作品とはひと味もふた味も違う質感が伝わってきます。
これは、種子島の土のみでつくられたもの。板状に整え、四角に切り、端を立ち上げ、化粧土も釉薬(ゆうやく)もかけずに焼きしめられたのだそうです。
そのため、手触りは土本来の心地よい“ざらざら感”。窯の中の火の影響がそのまま皿の表情になっています。強く火が当たったところは“焦げ”となり、弱く当てれば淡い色に。上に何か別のものを置いて土本来の色を残すということもできるんですね。
ちなみに、この角皿は表と裏だけを見てもまったく違う色が見て取れます。
このように、窯の中で起こる様々な偶然によって作り出される、うつわの趣(おもむき)。お料理と合わせて、ゆったりと楽しんでみてください。
※このうつわを使用したレシピ その1
※このうつわを使用したレシピ その2
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