うつわの世界 ~「井戸」の焼き物~
作家・武末日臣(たけすえひおみ)氏が、長崎の対馬で焼いている井戸盃(いどはい)をご紹介します。
対馬から肉眼でも見えるという韓国の焼き物である井戸茶碗。その韓国に近い対馬の土を使った盃なので「井戸盃」というわけなんですね。土質は赤くてがさがさしているそうで、そう聞いてこの盃を眺めていると、確かに重厚な…というか説得力を感じます。
さて、どうして「“井戸”茶碗」なのでしょうか? これには諸説あるようですが、そのひとつは“井戸を覗き込むみたいな深さ”のある大きくて深い茶碗だからとのこと。その名の通り、この盃も深さが感じられますね。
その深い盃の内側を覗いてみると…底に3カ所ほど白く残った部分が見られます。
これは他の焼き物と重ねて焼いた跡。なんでも効率的に焼くために、うつわを重ねて窯に入れたりするのだとか。
艶のある部分と土のがさがさした部分の対比を楽しみながら、好みの酒をついで楽しみたい。そんな盃です。
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