うつわの世界 ~有田焼の皿・青磁と染付の芸術~
たとえば焼き物にさほど詳しくなくとも、有田焼という名を耳にしたことがある人は多いはず。日本に暮らしていれば、ふだん意識していないだけで、実際に有田焼のうつわで食事をする機会もそこそこあるような気がします。今回は、そんな有田焼の窯元「崋山」の作品から3種の皿を紹介します。
この皿は“青磁(せいじ)”と呼ばれるものです。型に彫刻で模様をつくり、それをつかって成形し、釉薬(ゆうやく)をかけて焼くのですね。
つまり、このきれいな薄青色は釉薬そのものの色。表面の花模様と縁をぐるりと囲む波模様は、見惚れるだけでなくその感触を確かめたくなるほど艶やかです。ちなみに、この波模様のように皿を一周するように描かれている模様と「唐草(からくさ)」というそうですね。また、皿の裏側は全面に波模様がほどこされています。
次にご紹介するのは、深い藍色がなんとも上品な浅鉢です。これは“染付(そめつけ)”という技法で、轆轤(ろくろ)で成形した皿に専用の絵の具(顔料)で絵を描いていくというもの。…これはわかりやすい言い方で、専門的な言葉で説明すると、専用の絵の具は「呉須(ごす)」というそう。この絵付けは、模様の輪郭をまず描き、その内側を塗っていく、まるで塗り絵のようなやり方で、そのことを「濃み(だみ)」というのだそうです。
最後にご紹介するのは、前出した「唐草」の模様を「濃み」で描いたもの。さらにこちらは紫や黄色、緑色など様々な色がつけられており、これは“染錦(そめにしき)”と呼ばれています。また、皿は馬上杯(ばじょうはい)型で、高めの高台がついています。ご家庭ではあまり登場しない形の皿かもしれませんが、料亭ではお刺身をのせて出されることが多いようですね。
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有田焼 窯元 株式会社 崋山
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