うつわの世界~アメリカの土と窯、日本の伝統との融合~
今回ご紹介する2点の皿は、唐津の中里隆氏の作品。けれど、日本で焼かれてはいないもの。…となると「どちらで?」となりますね。答えは「アメリカ」です。
窯があるのはコロラド州。“アンダーソンランチ アートセンター”として作家が集まって作品をつくっているのだそう。こちらの作品は土も釉薬も現地のもので焼かれているのです。
しかし、絵付けされている模様は古典的な唐津焼の草紋。抽象的ではあるものの、和の雰囲気がしっかり伝わってきます。真ん丸でも真四角でもない形状、シンプルな色と模様のこの作品は、きっと季節もお料理もえり好みせず私たちの食卓にすっとなじんでくれるような気がします。
(※このうつわを使用したレシピはこちら)
もうひとつの作品も同じアンダーソンランチ釜。土も釉薬もそちらのものです。
この作品の特徴はなんといっても、鮮やかな赤茶色。これは“アイアンレッド”という名の釉薬によって作られた色です。その名のとおり鉄分が多い釉薬だそうですね。…というわけで、窯も釉薬の名前も横文字ですが、このうつわの形は四方向付といって、桃山時代から唐津焼でつくられていた形状なのです。
夏の涼しげな色味のお料理にはもちろん合うのですが、是非ご覧いただきたいのは出汁などの水分を注いだときの色の変化。もともとの赤茶色がふわっと明るくなり、なんともいえない深みにうっとりしてしまいます。
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