うつわの世界~醤油煮を美味しく魅せる濃色の鉢と椀~
松笠(松ぼっくり)のかたちの“くわい”を醤油色にした煮物。和食ならではのこの色をいかに活かすか…。白いうつわなら無難? いえ、濃い色で渋くいきましょう。(このレシピの記事はこちら)
メインのうつわは、中里花子氏の片口鉢です。黒に見えますが、こちらは濃紺の釉薬がかけられています。いわゆる酒器の片口に比べまあるいフォルムになっており、片口部分を指でひょいとつくったそうで、なんともやわらかいラインなのです。
取り皿として置いたのは、村木雄児氏の椀。黒い鉄釉がかけられています。唐津焼によく見られるざらざらとした土をつかっているそうで、縁にその土の色が白っぽく見えています。さて、それではどんな土なのか?というと、高台のあたりは釉薬をかけておらず、土の雰囲気を充分に楽しめます。
こういった濃い色のうつわに合わせる酒器。徳利は思い切って白をもってきます。こちらは丸田宗彦氏の粉引の作品。じつは真っ黒の粗い土をつかっていて、薪窯で焼いているそう。それ故に石がはぜていたりひび割れがあったり、灰がとんだ跡があったり、紫色や黄色などほんのり変色している部分があるのです。
そしてぐい呑みも渋めのものを選びます。これは中里太亀氏の作品。描かれているのは植物をモチーフにしているとのこと。桃山時代にあった茶碗の絵を模していて、それを小さくぐい呑みにしたそうです。
特に華やかな柄があるというわけではないシンプルなうつわたち。煮物を盛りつけたという効果もあるのでしょうか。土のあたたかさがいっそう伝わってくるような、そんなコーディネートになりました。
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