うつわの世界 ~“魅せる”唐津焼・矢野直人~
これは黒唐津の板皿。なんといっても気になるのは、いかようにも見える色と、ちぢれたようなその模様です。
もしかしたら、この皿を前にした各々はそれぞれ違う感想を口にするかもしれません。黒に見える人、グレーを感じる人、青や藍をおぼえる人…中には、色の印象よりも渋く放たれる光や艶に心奪われる人もいるでしょう。
そして、この表面の模様は、皿の土と釉薬(ゆうやく)の収縮率の違いによって生み出されるのだそう。そもそも焼き物を土から焼成すると15%くらいは縮むようで、釉薬はその種類によって収縮率は異なるとのこと。ちなみにこの板皿は鉄の釉薬。写真だとさらっと平らに見えますが、触れてみると縮んだと思われる部分は少しもこっとしているのです。
さて、もう一点の作品をご紹介しましょう。このぐい呑みは『伊羅保(いらぼ)』という種類。もともとは『伊羅保茶碗』から来ている名前です。
面白いのは、この『いらぼ』という言葉の由来。一説によると“肌(表面)がガサガサしていて、触るとイライラするから”なんだそうです。確かに手触りはガサガサというかザラザラ。ぐい呑みの内側も同じです。
それでは、はたして苛立つか?と考えると、むしろこの触感がクセになる人が続出するような気がします。
※このうつわを使用したレシピはこちら
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