RyoteiStyleJp

TOP > 日本文化を楽しむ

うつわの世界 ~酒呑みがつくる酒器と皿 中村真~

今回ご紹介するのは中村真氏の焼き物2点。撮影にご協力いただいているギャラリーの方が、このぐい呑みを前にしたときの「酒呑みの酒器は良いんですよ」という言葉が、とても腑に落ちるというか…心からうなずきたくなる作品です。

真上から見てみるとよくわかるのですが、飲み口部分の丸が少しゆがんでいます。こういった形状をフムフムと鑑賞するのも醍醐味だと思うのですが、是非手にとって…いいえ、実際にお酒を呑んでみてください。まるで運命の出会いかのように、ぐい呑みを持つ指がなじむのです。

これに限らず、ぐい呑みを手にするとどこかのカーブに指がフィットするものがあるのだとか。そうやって自分に合う酒器を探し出し、お酒を注ぎ、作家だけでなく使う人それぞれが味わいをつくっていくのも“焼き物を楽しむ”ひとつだそうですね。

さらに、外側に目を移してみると、半分はわりとするっとした手触りなのですが、もう半分はやけにごつごつとしています。これは、いわゆる“転がし焼き”をした結果とのこと。通常、窯の中には棚があって、そこに焼き物を並べていくのですが、このぐい呑みはわざと地面に転がしていたのだそう。

そこで何が起こるのかというと、上からどんどん灰が降ってきてぐい呑みは灰に埋もれるという仕組み。そのため、かなりがっつりと灰が焼き付くのだとか。

さて、もうひとつの作品は丸皿です。こちらもぐい呑みと同様の深い色に緋襷(ひだすき)がかけられています。不規則にゆがんだ皿の縁の少し内側に、潔いくらいにサッとつけられた何本かの曲線。これは他の皿を重ねて焼いた等ではなく、ヘラで模様としてつけられたようです。

他にも縞模様や放射状のこまかな線が見えたり、縁を少しだけ折り返した様子が見て取れます。裏を返してみても、その様々な表情は同様。ぐい呑みと共に、この作品も使い込むごとに独特の風合いがにじみ出てくるに違いなく、それを想像するとなんだかとてもわくわくしてくるのです。

※このうつわを使用したレシピはこちら

■取材協力・商品お問い合わせ
ギャラリー夢幻庵 銀座店
http://www.mugenan.co.jp/
https://www.facebook.com/bizenmugenanginza/

関連キーワード

おすすめ記事

Ranking-人気記事-

Keyword-キーワード-

SNSでRyotei Style Jpをチェックしよう

  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • Youtube