全体的に厚みがあり、少しもこっとした印象の皿。無造作に形づくられているようで、皿の縁の盛り上がりはキュッと丁寧にかためられたように思えます。さらに火がよく入った部分の茶色と緋襷（ひだすき）の線は、お料理をのせたときにほどよいまとまり感をつくってくれるに違いありません。

そして、表面の中心部分と裏側は、もはや茶色というより朱に近い明るい色が残っています。これは低温で焼きしめているからで、もう一度窯に入れても大丈夫なくらいの状態なのだそう。実際に皿に触れてみるとしっとりとした手触りです。水分を含めば色は素敵に変化するでしょうし、使い込めばそれだけ深い味わいが出てくるはずです。

ちなみに、親子三代で備前の陶芸作家という備前の中村家。和樹氏の父上は中村真氏、お祖父様は中村六郎氏。代々キメの細かい良質な田土（たつち）をつかっているとのことで、そう聞くと、和樹氏の他の作品にもたくさん出会いたいと思ってしまうのです。

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