うつわの世界 ~薪窯(まきがま)で起こるドラマ 木村勲のぐい呑み~
まずこのふたつのぐい呑みを並べ、その色の美しさに見とれていたところ、両方とも土も釉薬も窯も(焼いたのも)同じと聞いてびっくり。作家の木村勲氏の作品はすべて薪窯でつくられるそうで、このふたつは窯の中の置く場所によって酸素の濃度が変わり色の違いが出たのだとか。
さらに、こちらのぐい呑みの表面には、ほのかにきらきらしたものが見えます。これは窯の中で灰をかぶったせい。ということは…薪が燃えて灰になり、その灰が高温で溶けて釉薬になり…つまり、こちらのぐい呑みは2層の釉薬によって表情がつくられたのです。
一方、灰をかぶらなかったこちらはつるりとした手触り。艶やかで深い赤色が映えます。
どちらも、内側の底にはそれぞれ鮮やかな色がたまっています。お酒を注いだとき、この色が水面の作用でゆらりと揺れるであろう想像がよぎりますね。
さて、もうひとつご紹介しましょう。こちらのぐい呑みは陶器。外側には釉薬がかけられてなく、手触りもざらざらしています。
逆に、内側には釉薬がかけられており違った雰囲気を醸し出しています。轆轤目に釉薬がたまってできたと思われる濃い茶色の線がまた味わい深くもあり、裏に返してみたときのまあるい底にかわいらしさを垣間見たり、全方位で眺めて楽しい作品です。
■取材協力・商品お問い合わせ
千鳥 UTSUWA GALLERY
http://www.chidori.info/
※このうつわを使用したレシピ その1
※このうつわを使用したレシピ その2
※このうつわを使用したレシピ その3